Scienceは「理科」?「科学」?

Scienceは「理科」でしょうか?

わが国では、小学校から高等学校までは、「物理」、「化学」、「生物」、「地学」という『科目』をまとめた「理科」という『教科』があります。大学の入学試験でも、このように『教科』と『科目』が指定されています。

英語でScienceと呼ばれる学術領域は日本語ではどのように呼ぶのでしょうか。どうやら、教育の場では「理科」と呼ぶことが多いようです。また、学術の世界でも、これら、自然科学の分野では、Scienceを「理科」と呼んでも違和感がないように受け取っておられると感じます。また、少々、理解できないのですが、「数学」は「理科」の仲間だと言うことです。数学は自然科学ではないでしょうに・・・。これは、おそらく、わが国に固有の「理科系・文科系」という分類で「理科系」に含まれるからでしょう。

私の研究分野の「計算機科学 (Computer Science)」が自然科学に含まれておらず、したがって、「理科」ではないということで拗ねているというわけではありません。「計算機科学」がわが国で定着しなかったことについては、昨日の「「情報学」と書いたものの」で触れました。

Science は「科学」ではないでしょうか?

詳細は別の機会にするとして、計算機科学は、それらの各分野において、

・数学的な方法論に基づく理論:対象の定義、定理の証明など

・理学的探究の方法による抽象化:仮説の設定、予測、データの収集など

・工学的方法論に基づく設計:要求と仕様の定義、システムの実現、システムの検査

という3要素から構成され、しかも、これらを循環的に(すなわち、数学-理学-工学-数学-・・・というふうに)適用するという特徴がある、というのが固有のディシプリンだということです。これが私の理解です。

これは、「科学」ではないでしょうか。まさに Science ではないでしょうか。科学者が、伝統的な「理科」を科学だと誤解しないようにしていただきたいと思います。計算機科学が「振興分野」だという時期はもう過ぎました。自然科学だという物理学にしても、生で実験するのではなく、自然のモデルを設定し、計算によるシミュレーションで研究する方法が増えてきていると聞きます。科学する方法論は変わっていくでしょうが、「科学」にも新たな分野があることを認識すべきでしょう。

Science は「理科」ではなく「科学」というのがよいのではないでしょうか。

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